ライフセービング全豪選手権に出場 『勝ちたい』その先に、命

ライフセービング全豪選手権に出場 『勝ちたい』その先に、命

媒体:タウンニュース 箱根・湯河原・真鶴版 2009年3月6日号

「目標は結果を残して、『湯河原』の名を世界に知ってもらう事。同じ日本人選手には絶対負けたくない」。3月14日からライフセービング発祥の国・オーストラリアで開催される国際大会「全豪選手権」に日本代表として出場する。昨年の全日本大会で準優勝、千葉での国際大会では日本人初となる3位入賞の快挙を成し遂げ、代表権をもぎ取った。湯河原中学校、湯河原高校を経て現在は東海大学体育学部の学生。生涯スポーツや障害者スポーツなどの指導を学ぶ傍ら、地元吉浜で特訓を続けている。

物心ついた頃から吉浜が遊び場で、母は海の家で働き、父は町の救急救命士。時折救急車で浜辺に駆けつける父は、「自宅にいる時とは眼つきが違う」。人命救助の素質と環境に恵まれて育った。小学3年で湯河原ライフセービングクラブの練習に初参加。「何度も挫折しそうになった」という当時の特訓は小学生にも容赦なく、台風の海で荒行も経験。旅行先のハワイでは巨大な波に巻かれ、死を意識した時もある。その時頭によぎったのは「でも、きれいな海でならいいかなぁ」。そんな南の海を舞台にした、ディズニーアニメのキャラクター「スティッチ」が大のお気に入り。自宅の部屋には50体以上の人形を集め「見れば見るほど、可愛い」とにんまり。
茶髪を水泳帽に押し込むと、日に焼けた笑顔が日本代表の顔へと引き締まる。スポーツとはいえ救助の最前線。忘れられない思い出が多い。ある日波打ち際に浮いているサーファーの救助を経験した。陸にあげても白眼をむき、口から泡を吹いていたその人が意識を回復したのは1週間後。それを聞いた時は涙が止まらなかったという。しかし事故の反省会は「よかった」という和やかなものではなかった。「もっと良い救助方法があったはずだし、救助以前に、事故は防げたはず」。大会で勝ちたい理由は、その延長線上に命があるから。完成形はない。

http://www.townnews.co.jp/0609/2009/03/06/20703.html

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