湯河原の若者見守り10年豪州の「ソーリー」さん

湯河原海水浴場で監視を担当している「湯河原ライフセービングクラブ」に1人のオーストラリア人男性が混ざっている。名前はアーネスト・B・スティーブンスさん(76)。ライフセービング発祥の国、オーストラリアのクナラ海岸のライフセーバーで、同国のライフセーバー達の間では知らない人はいない重鎮だ。

ジュニアメンバーの指導にあたるソーリー

 スティーブンスさんが初めて湯河原を訪れたのは17年ほど前。湯河原町在勤のライフセーバーから本場の指導を依頼されたのがきっかけとなり、毎年湯河原に通うようになった。今では湯河原っ子から「ソーリー(総理)さん」の愛称で呼ばれている。

 スティーブンスさんは若手の指導のほか、海外から最新の救助技術の情報を伝えるパイプ役も担ってきた。湯河原中学校の体育教員で同クラブ代表の鈴木祐輔さん(29)は「指導は難しい英語です。とにかく体力をつけトレーニングを欠かすな、と。いかに事故を未然に防ぐかという基本を教えられました」と話す。台風による高波の場合はどんなベテランでも救助は困難になるという。

 同クラブの競技成績は年々向上しており、メンバーの中には千葉や東京から電車で湯河原に通う若者の姿も。3年ほど前には全日本大会を4連覇し、10月11日に藤沢市で開催される「全日本ライフセービング選手権大会」にも40人近くが出場する。しかし同クラブも年々少子化の波を受けており、ジュニア育成は喫緊の課題だ。シーズンの締めくくりを前にした8月28日には、監視活動の終わった夕暮れ時にトレーニングを兼ねたレクレーションを開催。湯河原の若者を十年来見守ってきた「ソーリーさん」は子供たちと吉浜海岸を走り回り、「いい感じだ」と砂だらけの笑顔で息を切らしていた。

媒体:タウンニュース 箱根・湯河原・真鶴版 2008年9月5日号より
http://www.townnews.co.jp/0609/2008/09/05/20820.html

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